

脳の病気によって記憶が悪くなったり判断力が低下することで、日常生活に支障が出ている状態を認知症といいます。
認知症を引き起こす疾患は数多くあり、その症状も様々です。
認知症の中には治療可能なものや、発症を予防できる認知症があります。しかしながら例え治る認知症でも、治療が遅れれば完全に元には戻りません。残念ながら認知症の多くは根治が望めませんが、それでも進行を遅らせたり、部分的とはいえ症状を改善することは可能です。また適切な対応により症状が軽減する場合もあります。
以上のような理由で、認知症では早期発見と早期診断が重要となってきます。
「認知症かな?」と思ったら早めに認知症の専門医、かかりつけ医の診察を受けましょう。
また、最近テレビなどで「MCI(エムシーアイ) 軽度認知障害」という言葉を耳にする機会が増えました。MCIとは認知症の前段階です。日常生活はほとんど問題なく過ごせますが、記憶や注意力に少し変化がみられます。全例が認知症にすすむわけではなく、適切な生活習慣や治療を受けることで約3割の方は正常機能に戻るといわれています。いわば、「戻れる可能性がある分岐点」であり、早めに気づいて治療や予防対策を始めることが大切です。
認知症の原因となる病気はたくさんありますが、その中で最も割合が多いのがアルツハイマー病です。アルツハイマー病は、脳の中に「アミロイドβ(ベータ)」と「リン酸化タウ」というたんぱく質が蓄積することによって、徐々に脳細胞が壊れていく病気です。脳細胞の障害は「海馬(かいば)」とよばれる記憶力に関わるところからはじまり、少しずつ脳全体に広がっていきます。症状も脳の障害が広がるのにあわせて進行します。多くの患者さんは 65 歳以上に発症し、高齢になるほど発症リスクが高まりますが、65 歳より若くして発症する若年性アルツハイマー病も知られています。アルツハイマー病を治す、進行を完全に止める治療法はまだありません。これまでは症状の進行にあわせたケアや今出ている症状を緩和する対症療法、介護環境の調整を行っていくことが治療の中心でした。しかし近年、アルツハイマー病の原因に働きかけて病気の進行自体を抑制する新たな薬「抗アミロイドβ抗体薬」が承認されました。
アルツハイマー病に次いで多い認知症で、脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、破裂したり(脳出血)して脳に十分な血液が送れなくなり、神経細胞が死ぬことによって起こります。高血圧や糖尿病などの生活習慣病や心臓病をきちんと治療し、喫煙や過度の飲酒を控えるなど規則正しい生活を送ることにより、発症や進行の予防が可能な認知症です。
多くは65歳より以前の初老期に発症し、病名の通り前頭葉・側頭葉などの脳の前方部分が侵されることによって引き起こされる認知症です。前頭葉が障害されると本能的な欲動を自制できなくなり、側頭葉が障害されると言葉が出てこなくなります。従ってこの病気では、物忘れよりも人格や行動の変化、言葉の障害が病初期から目立ってきます。

















